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趣味とすむむ

神奈川県川崎市
安井将人

インドアグリーンも陶芸も。
暮らしと趣味のほどよいバランス。

Photo/Mie Morimoto
Text/Hisashi Ikai
Edit/Tami Okano

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Photo/Mie Morimoto
Text/Hisashi Ikai
Edit/Tami Okano

住み替え経験が豊富で、これまでに暮らした賃貸の集合住宅は、一度も更新したことがなかったというクリエイティブディレクターの安井将人さん。結婚、そして第一子の誕生を機に「これまでよりは少しだけ長居できる住まい」として選んだのは、低層マンションの角部屋でした。趣味はインドアグリーン。そして、自分好みのプランターが欲しくて始めた陶器作り。家族との暮らしの場に趣味の喜びがバランスよく配された、3LDKの住まいを訪ねました。

PROFILE Masato Yasui
Masato Yasui

1996年愛知県生まれ。芝浦工業大学建築学科卒業後、建築設計事務所を経て、2021年株式会社DAISHIZENに入社。SOLSOのデザイナーとして、ランドスケープデザインから、植栽プロダクト、什器、内装などさまざまな設計プロジェクトに参加。現在はDAISHIZEN全体のクリエイティブ業務とPRの統括を行う。

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日当たりのいい角部屋で、リビングは二面採光。床置きの鉢植えには背の高い観葉植物を、チェストの上には小ぶりな鉢植えを並べるなど、限られたスペースの中で立体的なディスプレイを心がけている。

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リビングの一角。高低差のあるスツールを並べてプランタースタンド代わりに。こちらも、立体的なディスプレイの工夫のひとつ。子供の手が届くところには、絵本やおもちゃを置くようにしている。

手の届く範囲に、グリーンの居場所を点在させる。

都心へのアクセスがよく、子育てのしやすい生活環境が整っている神奈川県川崎市のベッドタウン。安井将人さんの住まいは、駅から徒歩10分ほどの低層マンションの一室。広さは約80㎡で、妻のはるかさんと1歳半の息子と暮らしている。

「妻の妊娠がわかってすぐに『家を買おう!』というスイッチが入り、3ヶ月後には購入を決めました。一般的には、家探しにもっと時間をかけるものかもしれませんが、まずは家族が安心して過ごせる場所、子供が自由に動き回れる空間が欲しかったんです」

住まいを決めるにあたり、唯一こだわったのは、角部屋であること。「角部屋の利点は、自然換気のしやすさです。複数の窓を同時に開け放つと心地よい風がすっと通り抜ける。リビングは二面彩光で、日中、さまざまな方向から光が入ってくるのが良いですね」と安井さん。

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南側に面したリビングの一角。モンゴルの伝統的なテントをモチーフにした深澤直人のスタンドライト「パオ」やチャールズ&レイ・イームズが手がけた象のオブジェ「イームズエレファント」がインテリアのアクセントに。

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リビングの窓辺に置かれたグリーンは、多肉植物や水耕栽培、エアプランツ、シダ植物などバリエーションに富んでいる。空間とのバランスはもちろん、管理のしやすさを考え、頻繁な水やりの必要がない植物を選んでいる。

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ダイニング。ベビーチェアは1932年創業のデンマークの老舗ブランド「ストッケ」で、会社の先輩から譲り受けた。「木の色が少しくすんでいたり、ちょっとした傷が入っているもの味があって好きなんです」。

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ダイニングチェアは、イルマリ・タピオヴァーラが1946年にデザインした「ドムスチェア」。社会人生活を目前に控えた安井さんが、「ひとつくらいは良い椅子を持っておきたい」と購入した思い出の品。

大学では建築を専攻。家具デザインにも詳しく、現在は造園や園芸を多角的に手がける会社に勤めていることもあり、部屋のインテリアを整えたり、インドアグリーンの手入れに時間を割くのが日々の楽しみなのだという。家具は、北欧を中心にしつつ、フランスのヴィンテージや日本の名作照明などをバランスよくセレクト。木調の落ち着いた空間のなかに、カラフルなオブジェでアクセントをつけている。

「ひとつの家のなかにいても、いろいろなリズムがほしいので、スタイルやカラーの幅は意識的に広げているかもしれません。色鮮やかものに子供が反応している様子を見ると『これも情操教育につながっているかな』なんて、勝手に喜んでいます」

インドアグリーンは、今でこそ安井さんの「趣味」のひとつだが、かつては植物のある生活とは縁遠かったという。それが一転、ここまで好きになったのは、仕事で植物に接する機会が増えたこと。造園の現場で残った植木や剪定した枝を捨てるのはしのびなく、持ち帰ることも。次第に家に植物が増え、扱いにも慣れてきた。ともすれば、部屋中グリーンだらけにもなりそうなところ、そこはあえて、数も大きさも抑えているのだと話す。

「僕の場合、家ではできるかぎり小さく育てるようにしているんです。水やりを最小限に抑え、頻繁にハサミをいれて剪定する。その方が扱いも楽ですし、樹形を美しく保つことができる。光が行き届き、風通しが良いほうが、植物の健康にいい。大切なのは、常に手の届く範囲に、グリーンの居場所を点在させること。住まいの広さを考えると、小さい植物をさまざまな場所に配置する方が、植物にとっても人にとってもより良い距離感と状況が保てます」

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廊下を挟んでリビングの反対側にある安井さんの書斎。木調の温もりのあるリビングとは趣を変え、スチール製の棚などを用いて自由にディスプレイを楽しんでいる。

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書斎のデスクにはろくろ台が。手にしているのは、自作の植木鉢。「土をこねたり、整形したり削ったりして、かたちが立ち上がっていく様子を見ているのが楽しい」。

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書斎の広さは6畳ほど。写真右手の黒い壁に飾られたドローイングは安井さんの作。「絵画と呼べるようなレベルじゃないけど、壁面が少し寂しいなと思ったので、手元にあった板に色を塗って抽象画のようなテイストに」。

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木製シェルフはイギリスの家具メーカー、アーコールの「ジラフ」。メタルの壁面収納はフランスのデザイナー、マシュー・マテゴがデザインした「デダール」。どちらも1950年代にデザインされたもの。

この家で暮らすようになって、陶芸という新しい趣味も生まれた。
「ある日ふと、興味本位で妻と出かけた陶芸教室で、土に触ったらハマってしまって。今では小型のろくろ台や電気窯も購入し、手びねりで小さなものばかり作っています」

最近では、家で使う植木鉢や小さなオブジェを作っているほか、株分けした植物を自作の鉢に入れ、友人にプレゼントすることも。廊下や書斎には自筆の絵画を飾るなど、「自分時間」の楽しみはますます広がっている。今後の住まいへの展望を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「今の部屋をリノベーションするかもしれないし、違う家に住み替えるかもしれない。ここが終の住処、みたいな発想はなくて、子供の成長や仕事の状況など、ライフステージに応じて家のことも自由に考えていきたいと思っています」

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書斎は北側で、窓からのやわらかな光が美しい陰影を作り出す。建築家・元木大輔の作品集『Hackability of the Stool スツールの改変可能性』など、安井さんの興味や関心が散りばめられている。

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安井さんが特に気に行っている、ジャン・プルーヴェの壁付けの照明「ポタンス」。「ヴィンテージには、その物と誰かが共に過ごした時間や経験が刻まれている。そんな痕跡を見つけるたびに心が湧き立つんです」。

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