すむむ。コミュニティ
住まい探しのコミュニティ・プラットホーム。
街の小さな不動産屋にやってきた新人AIロボット「すむむ」。データと論理で家探しをサポートする彼ですが、人間の住宅ローンに対する不安は計算式だけでは解けないよう。「貯金がないと家は買えない?」「フルローンはリスクが高い?」そんなすむむの疑問に対し、住宅購入診断士の額賀由有梨さんにインタビュー。頭金ゼロの是非からNISA活用術まで、一人ひとりのライフスタイルに合わせた賢い買い方をすむむが学びます。
本文の前に、ちょっと寄り道。すむむ出演のショートドラマ第1話、もう見た?AIロボットが町の不動産屋で働くことになった、知られざる理由をのぞいてみよう。
はじめまして。AIロボットのすむむです。不動産会社で働いていますが、より正確な知識をインプットするために学習しに来ました。本日はよろしくお願いします。
すむむさん、よろしくお願いします!
私はAIとして、常にリスクを最小化するようプログラムされています。そのため「頭金ゼロで家を買う」という行為は、データ上、非常にリスクが高い「論理的ではない選択」に見えるのですが……実際のところ、可能なのでしょうか?
結論から言うと、今は頭金ゼロでも家は買えますよ。そもそも「頭金」というのは、物件価格のうち「現金で先に支払う分」のことを指します。昔は、家を買うときに物件価格の10〜20%くらいを「頭金」として現金で用意するのが一般的でした。そして銀行も、基本的には家の価格までしかお金を貸してくれないことが多かったんです。
つまり昔は、「まずはしっかり貯金してから家を買いましょう」という考え方だったんですね。
そうなんです。でも今は状況が変わっています。家の価格だけでなく、家を買うときにかかる「諸費用」までまとめて借りられる銀行が増えているんですよ。
「ショヒヨウ」ですか? 詳しくインプットさせてください。
はい。家を買うときは、物件の代金以外にも実はいろいろなお金がかかるんです。例えば、家の名義を登録するための「登録免許税」、不動産会社に支払う「仲介手数料」、銀行への「事務手数料」、さらには「火災保険料」などですね。これらを合わせて「諸費用」と呼びます。以前はこうした費用は現金で用意するのが鉄則でしたが、最近はネット銀行やメガバンクの多くが、これらも含めて丸ごと貸してくれる「フルローン」に対応しているんですよ。
ムムム……。では誰でもその条件で借りられるのですか?
そこは注意が必要です!「制度があること」と「審査に通ること」は別物。諸費用まで借りる場合は、通常のローンより審査が少し厳しくなったり、銀行によっては金利が少しだけ(0.1%ほど)高くなるケースもあります。目先の金利だけではなく、融資手数料や借り入れ可能期間など比較すべき項目はたくさんあります。だからこそ、1つの銀行だけではなく、少なくとも3カ所は話を聞いて吟味検討することが大切なんです。
では、あえて「フルローン」を選ぶ人にはどんなメリットがあるのでしょうか?
キーワードは「手元に残った現金をどう使うか」です。
ここで少し整理してみましょう。例えば、今すむむさんの手元に「コツコツ貯めてきた500万円の貯金」があるとします。昔なら、この500万円を「頭金」として使い、ローンの借入額を減らすのが当たり前でした。
はい。借金を減らして、毎月の返済を楽にするのが論理的な正解に思えます。
でも、令和の考え方は少し違うんです。あえて貯金の500万円を頭金に使わず、あえて「諸費用まで含めたフルローン」を組み、手元の500万円を「新NISAなどの資産運用」に回すという選択をする人が増えています。
ほう。あえて貯金を使わずに「持っておく」ということですね。でも、それだと借金の利息がもったいないのではないでしょうか。
そこがポイントです!今の住宅ローンは、歴史的な低金利(例:変動金利1%前後。2026年3月時点。一方で、新NISAなどで資産運用をすれば、それ以上の利回り(例:3〜5%など)が期待できる可能性があります。
つまり、「銀行から低い金利でお金を借りて、自分のお金はより高い利回りで運用する」。結果として、頭金で貯金を使い切ってしまうよりも、効率的にお金が増える可能性があるんです。
さらに「住宅ローン控除」という心強い制度もあります。これは、家を買った後の13年間、ローン残高に応じて所得税などの税金が戻ってくる仕組みです。つまり、借りている金額が多いほど、受けられる控除の額も大きくなる傾向があります。そのため、あえてフルローンを選んで減税メリットを最大限に受けるのも、賢い戦略の一つですよ。
借金が多いほどメリットがあるなんて……。なにか裏があるのではないですか?
もちろんデメリットもあります。借入額が大きくなる分、将来もし金利が上がった時の影響は受けやすくなります。また、買ってすぐに売ることになった場合、ローンの残り(残債)が家の売値より高くなってしまう「オーバーローン」という状態になりやすいのもリスクですね。
単なる借金額の比較ではなく、「時間の価値」と「運用効率」の組み合わせですね。しかし、今20代だとすると50年後は70歳。私のバッテリー寿命より遥かに長いですね……。
ふふ、そうですね。大事なのは、一概に「貯金があるなら頭金を入れた方がいい」とは言えないということ。年齢や収入、そして何より今後のライフスタイルによって最適解は異なります。
では、今は貯金がない人が「あと3年頑張って貯めてから買おう」と考えるのは、合理的と言えますか?
それが実は、必ずしも得策とは限らないんです。すむむさん、その3年間の家賃を計算してみてください。
……仮に家賃10万円なら、3年で360万円。さらに更新料を含めると、約400万円弱が消えていく計算になります。
そう。その400万円を「家賃」として捨てるくらいなら、フルローンで買って「自分の資産」への返済に充てたほうがいいという場合もあります。さらに怖いのが健康状態のリスクです。住宅ローンは「団体信用生命保険(団信)」に入る必要があるため、健康状態が悪くなると組めなくなります。3年後の健康は、AIでも予測しきれないでしょう?
……おっしゃる通りです。私のプログラムには病気はありませんが、人間には「今しか組めない」という時間的制約があるのですね。
そう。その400万円を「家賃」として捨てるくらいなら、フルローンで買って「自分の資産」への返済に充てたほうがいいという場合もあります。さらに怖いのが健康状態のリスクです。住宅ローンは「団体信用生命保険(団信)」に入る必要があるため、健康状態が悪くなると組めなくなります。3年後の健康は、AIでも予測しきれないでしょう?
具体的な数字で考えてみましょう。例えば年収700万円の方が、4,000万円の物件を買いたいとします。「フルローン」で買う場合と、貯金から「500万円の頭金」を入れて3,500万円のローンを組む場合を比較してみます。
借入額が500万円も違えば、月々の返済はかなり変わるはずですよね?
実は、今の低金利だと月々の返済額の差は約1.5万円程度なんです(※)。この「1.5万円」をどう捉えるかが運命の分かれ道。
もし、頭金として500万円を使い切ってしまうと、手元の貯金は一気に減ってしまいますよね。でも手元に500万円を残しておけば、月々の返済が1.5万円増えたとしても、お子さんの教育費や、もしもの時の安心料として使えます。さらに、その500万円を運用して「1.5万円以上の利益」を生み出せれば、フルローンの方が合理的、という考え方もできるんです。
※金利0.6%、35年ローンの場合
つまり「借金を減らす」ことだけが正義ではなく、「手元の自由なお金をいくら残すか」という視点ですね。
そうなんです。だから、誰にとっても「頭金ゼロが正解」というわけではありません。家族の年齢やこれからの教育費、老後の備えなど、ライフプランをトータルで見ないと本当の最適解は出ないんですよ。
……ムムッ。では、その「ライフプラン」の最適解は、一体だれに聞けばいいんですか? 不動産屋さんに相談すれば、そこまで一緒に考えてくれるのでしょうか?
住宅購入に詳しいファイナンシャルプランナーに相談してみるのもおすすめです。家計の収支や資産、負債といった状況をもとに、無理のない物件価格や住宅ローンの借入額を一緒に考えてくれます。さらに、購入後の教育資金や老後資金まで含めた長期的なライフプランをシミュレーションし、現実的なアドバイスをしてもらえるのも大きなメリット。第三者の立場からの中立的な意見が聞ける点も安心ですね。
「頭金ゼロ」はネガティブな言葉ではなく、予算設定さえ間違えなければ、人生を豊かにするための有効な手段であると理解しました。人間の住み替えには、数字以上の決断のタイミングが重要なんですね。少しだけ、人間という存在がわかってきた気がします。
▶ フルローンは今やスタンダード
諸費用まで含めて借りられるケースも多く、頭金なし=危険とは限らない。
▶ 「頭金を貯める時間」にもコストがある
家賃を払い続ける期間や、年齢による健康リスク・ローン条件の変化を考えると、早めに購入するほうが合理的な場合もある。
▶ 住宅ローンは未来への投資
住宅ローンは単なる借金ではなく、低金利や住宅ローン減税を活用しながら資産形成につなげる選択肢でもある。
とある町の小さな〈君島不動産〉で働いている、⼈⼯知能を搭載したAIロボット。お客様の「住む」に関する「ムムム・・」というお悩みに応えるのが仕事。
ぬかが・ゆうり/GOEN株式会社 「おうちの買い方相談室」営業マネージャー。住宅購入診断士。子育て世代を中心に、住宅会社選びや資金計画の相談支援を行う。
おうちの買い方相談室は、全国59店舗を展開する住まい選びの相談窓口。住宅購入を検討している方や、情報が多く何から始めればよいか迷っている方に向けて、住まいとお金の両面から中立的な立場で整理し、一人ひとりに合った住まい選びをサポートしている。
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